外国人労働者の雇用について

著者:【社会保険労務士】山﨑 洋介

※こちらの情報は2019年12月時点のものです

わが国の生産年齢人口は激減しており、減少幅はこのわずか20数年で1千万人を超えました。
たとえ零細企業でも、外国人労働者を含めた労働力の多様化に対応する必要性にせまられています。
特に今年施行の『改正出入国管理法』により、今後さらに外国人の活躍が期待されます。外国人の雇用は単に人手不足の解消という目的だけではありません。外国人には向上心の高い人が多く、優秀な外国人が働くことにより、他の日本人従業員が刺激を受け、結果会社の発展につながっているという話は最近ではよく耳にします。

ハローワークや大学などに積極的に求人を出せば、外国人の応募も見込めます。採用経験の無い事業所様も、前向きな考えで優秀な外国人の雇用に乗り出すべきかと考えます。

外国人の労務管理についてはいくつか注意すべき点があります。

今回は、①『就業規則』の作成②『雇用契約書』の作成③『社会保険』加入の3点について触れたいと思います。

1.就業規則の作成

『就業規則』について、外国人は自分の権利をしっかり主張する人が多く、簡単には引き下がりませんので、従業員の権利義務を明確化した就業規則の整備が必須といえます。

就業規則でルールを明確化しておけば、事業所側も堂々と主張ができます。また就労ビザが不許可となり、在留資格を喪失した場合には、雇用契約が終了する旨の規定を盛り込んでおくべきです。この場合は不法就労となりますので、雇い続けた企業側にも罰則が適用されます。

また外国語に翻訳した就業規則を別途設けておいた方がよいでしょう。かと言って外国人と日本人で就業規則の内容を変えることは禁止されていますので、注意が必要です。また労働基準法では国籍を理由に、待遇や労働条件に差を設けることが禁止されています。就業規則作成義務の無い10人未満の事業所でも、外国人を雇用するのであれば、そういう機会にぜひ作成することをお薦めします。

2.雇用契約書の作成

『雇用契約書』は本来法定書類ではありませんが、就労ビザの申請に雇用契約書または労働条件通知書の添付が必要です。雇用契約書の作成にあたり、特に「職務内容」には注意が必要です。できるだけ具体的に書いておかないと、就労ビザが不許可となるリスクを伴います。

3.社会保険の加入

『社会保険』について、厚生年金や健康保険は、正規の在留資格を持って日本に住む外国人にとっては、加入義務があります。

ほとんどの外国人は、会社が社会保険料を半額負担していることを知りません。健康保険については配偶者や子供も被扶養者とすることができますし、年金については10年以上の加入で将来年金を受け取る受給権を得ることができます。

また何等かの事情で日本を離れることになった場合でも、日本を離れて2年以内の方を対象として、脱退一時金が支給される制度もあります。これらのことをしっかり理解させた上で、社会保険の加入を納得してもらうよう努めましょう。

以上、今回書かせて頂いた内容につきましては、弊社の専門分野でもあり、ぜひご相談下さい。