デジタルマネーによる賃金支払が解禁されました

著者:【社会保険労務士】駒形 勲

※こちらの情報は2023年5月時点のものです

令和4年11月28日にデジタルマネーによる賃金支払を認める労働基準法施行規則(以下「規則」という。)を改正する省令が公布され、令和5年4月1日から施行されました。
現在労働基準法(以下「法」という。)第24条において「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下略)」と規定され、原則現金払いとされておりますが、規則第7条の2第1項において労働者の同意を得た上で銀行口座等への振込みが認められており、実際にはその方法が主流です。
昨今のキャッシュレス決済の普及などもあり、今回の改正では、賃金支払いに関する労使の新たな選択肢として、上記の賃金支払方法に加えて一定の条件を満たしたデジタルマネーを労働者の口座に入金する方法が認められることになりました。
そこで今回は、デジタルマネーによる賃金支払の導入方法について簡単に説明したいと思います。

1.デジタルマネーによる賃金支払を導入するかどうかの判断

本稿執筆時点では、デジタルマネーによる賃金支払は正式に導入自体は決定していますが、資金移動業者の指定が4月以降に始まる為、どのデジタルマネーが使用できるのかやどのようなサービスが使えるのかなど詳細は決まっておりません。令和5年4月1日以降に業者の登録と厚生労働大臣による業者の指定が行われ、その指定に数か月かかると言われているため、実際には利用できるのはもっと先になりますので、詳細が分かり次第、制度導入・事務処理の手間やメリット・デメリットも考慮し、会社として導入するかどうかを検討しても遅くはないかと思います

2.社内規定等の整備

会社としてデジタルマネーによる賃金支払を導入することを決定すると、それに伴い社内規定等の整備が必要になります。
法89条では、就業規則に記載すべき事項として「賃金」が上げられており、デジタルマネーによる賃金支払制度を導入する場合は新しい賃金の支払い方法に該当するので就業規則の変更が必要になります
また、厚生労働省からの通達によりデジタルマネーによる賃金支払を導入する際には、労働者の過半数代表等と、デジタルマネーによる賃金支払の対象となる労働者の範囲等を記載した労使協定の締結が必要である旨が明記されております。

3.労働者の同意

繰り返しとなりますが、法24条において「現金払い」が原則となっているため、デジタルマネーによる賃金支払を行う場合は、「2」での手続を踏んだ上で、労働者の意思に基づく「同意(書面等で行う必要がある)」が必要とされており、また、原則として同意を得る前提として会社から労働者へ一定の必要な事項の説明が必要になります。なお、厚生労働省のホームページに「同意書」の様式例が公開されており、様式例の裏面に説明が必要な事項について記載がされておりますので、ご参照ください。

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