【Q&A】副業・兼業時の労働時間の通算のポイント
※こちらの情報は2024年6月時点のものです
Q.相談内容1
労働時間について「事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算するのでしょうか。
A.回答1
労働基準法第38条では、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定に該当し通算されます。
- 使用者は、労働者の自己申告などで、副業・兼業先での労働時間を把握し、自社での労働時間と足し合わせます。
- 副業・兼業先での労働時間を自社での労働時間と合わせた結果、自社での労働が、1週40時間または1日8時間を超える法定外労働に当たる場合、36協定の締結、届出、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要になります。
- さらに、自社と副業・兼業先での法定外労働の時間と休日労働の時間を合わせて、単月100時間未満、複数月平均80時間以内とする必要があります。
Q.相談内容2
労働時間通算の原則的な手順はどのようにするのでしょうか。
A.回答2
所定労働時間は、契約の先後の順に通算します。
ステップ①
■使用者A ⇒ 先契約 、使用者B ⇒ 後契約とした事例の場合
所定労働時間 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
通算順①:使用者A | 5時間 | 5時間 | 5時間 | 5時間 | |
通算順②:使用者B | 4時間 | 2時間 | 4時間 | 2時間 | 4時間 |
所定労働時間の通算 | 9時間 | 7時間 | 4時間 | 7時間 | 9時間 |
通算の結果、月曜、金曜で、使用者Bの所定労働時間のうち1時間が法定労働時間(1日8時間)を超えており、法定外労働に該当します。
ステップ②
所定外労働時間は、実際に所定外労働が行われた順に通算します。
■ステップ①の事例で、使用者A⇒先労働、使用者B⇒後労働とし、労働者の実際の労働時間が以下の場合
所定労働時間 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
通算後の所定労働時間(㋐) | 9時間 | 7時間 | 4時間 | 7時間 | 9時間 |
所定外労働時間 | |||||
通算順③:使用者A | 1時間 | 2時間 | |||
通算順④:使用者B | 1時間 | ||||
1日の労働時間の通算(㋐+③+④) | 9時間 | 9時間 | 4時間 | 9時間 | 9時間 |
法定外労働時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 |
⇒ 通算の結果、火曜では、使用者Bの所定外労働1時間が、木曜では使用者Aの所定外労働のうち1時間が、それぞれ法定労働時間(1日8時間)を超えた労働に当たり、法定外労働に該当します。
副業により時間外労働が発生し、割増賃金の支払いが生じた場合、その支払い義務があるのは後から雇用契約を結んだ企業になります。これは、後から契約した企業は本業があることを知っており、そのうえで雇用契約を結んだという前提があるからです。必ずしも副業に該当する企業ではなく、本業であっても後から雇用契約をしている場合は、本業の企業に支払い義務が生じます。ただし、先に契約した企業が法定労働時間を超えることを認知していながら、時間外労働を命じた場合は例外です。この場合、先に契約した企業に割増賃金の支払い義務が発生します。
【使用者の方へ】
副業・兼業に伴う労務管理を適切に行うため、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておきましょう。

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