フリーランスの取引に関する新しい法律が11月にスタートします。

※こちらの情報は2024年10月時点のものです
令和5年4月に、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が成立しました。「フリーランス保護法」と呼ばれるものです。
近年、働き方の多様化が進展する中、個人が、それぞれのニーズに応じた働き方を柔軟に選択できる環境を整備することが重要となってきております。「自分の仕事のスタイルで働きたい」、「働く時間や場所を自由にしたい」といった理由からフリーランスとして働くことを積極的に選択する方も多くなっています。
こうした中、発注事業者と業務委託を受けるフリーランスの方の取引において、「一方的に発注が取り消された」「発注事業者からの報酬が支払期日までに支払われなかった」等の取引上のトラブルが生じている実態があります。
こうした状況を改善し、フリーランスの方が安定的に働くことができる環境を整備するための法律になります。
法律の目的
この法律は、
- フリーランスの方と企業などの発注事業者間の取引の適正化
- フリーランスの方の就業環境の整備
を図ることを目的としています。
フリーランス保護法の適用範囲は?
フリーランス保護法で保護されるのは、「特定受託事業者」に該当する方が保護対象とされています。
特定受託事業者とは、次のいずれかに該当する方を指します。
- 従業員を使用しない個人
- 代表者以外に役員がいなく、従業員も使用しない法人
適用対象となる業務委託
フリーランス保護法で保護されるのは、特定受託事業者が受託する業務のうち、次のいずれかに該当するものになります。
- 事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造加工や情報成果物の作成を委託するもの(情報成果物=プログラム、映像・音声・文章等のコンテンツ)
- 事業者がその事業のために他の事業者に役務(サービス)の提供を委託するもの
システムエンジニア、デザイナー、ライター、コンサルタントなど、IT関連業界のフリーランスは、おおむね適用対象になります。
義務項目
- 書面による取引条件の明示
特定受託事業者への業務委託の際には、業務の内容、報酬の額、支払期日、公正取引委員会規則で定めるその他の事項を書面やデータで明示する必要があります。 - 報酬の支払期日の設定・期日内の支払
特定受託事業者への業務委託の際には、報酬の支払期日を、成果物の受領日から60日以内、かつ、できる限り短い日数に設定しなければなりません。 - 禁止行為
1か月以上の業務委託である場合、特定受託事業者への業務委託の際には、次のことが禁止されています。
(1)本人の責めに帰すべき事由がないのに、成果物の受領を拒むこと
(2)責めに帰すべき事由がないのに、報酬の額を減ずること
(3)責めに帰すべき事由がないのに、成果物を受領した後にそれを引き取らせること
(4)同種・類似の成果物に対して通常支払われる対価と比べて著しく低い報酬の額を不当に定めること
(5)正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制購入させたり、サービスを強制利用させること
(6)経済上の利益の提供や、給付内容の変更・やり直しによって、本人の利益を不当に害すること - 募集情報の的確表示
特定受託事業者の募集情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示が禁止され、提供する情報について正確かつ最新の内容に保たなければなりません。 - 育児介護等と業務の両立に対する配慮
特定受託事業者への発注を6か月以上継続的に行う場合には、特定受託事業者(法人の場合はその代表者)が妊娠・出産・育児・介護と仕事を両立するための配慮をする必要があります。 - ハラスメント対応の義務化
発注者は、特定受託事業者(法人の場合はその代表者)がハラスメントによって就業環境を害されることがないように、本人からの相談に応じて適切な措置を講じる必要があります。 - 中途解除等の事前予告・理由開示
特定受託事業者への発注を6か月以上継続的に行う場合は、契約解除の際に、原則として、30日前までに予告をすることが義務づけられます。この場合において、特定受託事業者は、発注者に、契約解除の理由を開示するように請求することができるようになります。
違反があった場合
- 取引の適正化に関する違反
特定受託事業者は、契約内容の明示、報酬の支払期日、取引の適正化に関する禁止事項のルールに発注者が違反した場合は、公正取引委員会や中小企業庁長官に対して適当な措置を求めることができ、公正取引委員会は、(対象外のものもありますが)違反行為に対して必要な勧告をすることができます。 - 職場環境に関する違反
特定受託事業者は、募集情報の的確な表示、妊娠・出産・育児・介護への配慮やハラスメント対応、解除の予告に関する禁止事項のルールに発注者が違反した場合は、厚生労働大臣に対して適当な措置を求めることができます。
妊娠・出産・育児・介護への配慮義務以外のルールへの違反について、厚生労働大臣は、必要な勧告をすることができます。
フリーランス・トラブル110番
フリーランスと発注者等との契約内容等の取引上のトラブルについて、フリーランスの方が弁護士にワンストップで相談できる窓口であり、厚生労働省が、公正取引委員会・中小企業庁と連携して、第二東京弁護士会に委託して実施しています。
弊社では、フリーランスの方々に対する情報発信および様々な支援を行っております。お気軽に【TSCフリーランス部会】までお問い合わせ下さい。
【参考| 厚生労働省ホームページ】
■フリーランスの取引に関する新しい法律が11月にスタート! | リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/001261528.pdf
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