老後の住宅確保に困る人への支援策~住宅確保要配慮者に対する支援事業~

※こちらの情報は2024年11月時点のものです
これからの超高齢化社会においては、住宅確保に困難を覚える老人がますます増加することが予想されます。その背景には、低家賃の住宅が少ないこと、民間賃貸住宅においては身寄りのない老人に対して入居拒否をする傾向が見られることなどがあります。そこで今回は、高齢者など「住宅確保要配慮者」に対する居住支援事業について、具体例などを確認しながらご説明します。
国は平成19年に「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(略称:住宅セーフティネット法)を制定し、これを平成29年に改正して「住宅確保要配慮者」に対する支援策を拡充しました。
住宅確保要配慮者とは・・
住宅セーフティネット法で、高齢者、低額所得者、被災者、障害者、子育て中の者や外国人などその他住宅の確保に特に配慮を要する者と定義されています。
居住支援法人とは・・
住宅確保要配慮者に対して、住宅セーフティネット法に基づき居住支援を行う法人として都道府県が指定するものを「居住支援法人」といいます。
この居住支援法人に指定される団体としては、地域の社会福祉協議会や社会福祉法人だけでなく、株式会社やNPO法人も要件を満たせば可能であり、指定されれば国や自治体から補助金が給付されることになります。居住支援法人は、家賃債務保証の提供、賃貸住宅への入居に係る住宅情報の提供や相談、見守りなど要配慮者への生活支援等を行います。
セーフティネット住宅とは・・
住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅や専用の住宅のことで、これらの住宅に対しては、改修費や家賃の低額化に要する費用、家賃債務の保証料の低額化に要する費用などに対して補助金が給付されるなどの支援策がとられます。
住宅セーフティネットのイメージ

【参考URL | 国土交通省ホームページ】
■新たな住宅セーフティネット制度における居住支援について
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750359.pdf
支援事例
住み替え支援
90代の女性が夫の相続発生により住居先の立ち退きを迫られ、独力で住宅を探すも高齢を理由に断られた。そこで、市の居住支援協議会と連携する社会福祉法人より要配慮者居住支援を受ける事により、週一回の見守りサービスを受けながら低廉なアパートに入居する事ができた。
退院支援
60代男性が難治性疾患の治療の為市内の病院に長期入院する事になり、家賃トラブルにより入院前の住居を強制立ち退きさせられる事になった。そこで、市の居住支援協議会と連携する社会福祉法人より要配慮者居住支援を受ける事により、難治性疾患を抱えながらも地域で暮らすことが可能になった。
住み替え支援
エレベーター無しマンション4階に住む80代女性が心筋梗塞を発症。親族はいるが高齢者のみ。収入は年金月215,000円、身体障害者手帳1級。債務として家賃債務3か月分(18万円)と未納社会保険料等(20万円)を抱えている。治療費がかさんだことで家賃を滞納してしまい、所有者から退去を命じられた。自身で不動産会社を探し回るも部屋を借りることができなかった。
そこで、地域の社会福祉協議会より居住支援を受ける事により、生活福祉資金(転宅費)の貸付、家計相談、引越支援、見守り等の総合的支援を受けて住み替えが実現した。
【参考URL | 法務省ホームページ】
■(公財)日本賃貸住宅管理協会(平成30年度)家賃債務保証業者の登録制度等に関する実態調査報告書
https://www.moj.go.jp/content/000097165.pdf
【参考URL | 厚生労働省ホームページ】
■居住に課題を抱える人(住宅確保要配慮者)に対する居住支援について
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001226836.pdf
これらの事例からも分かるように、住宅確保の困難は高齢者になると誰にでも起こり得る問題で、居住支援制度はこれからの社会にとってとても心強い存在です。また、高齢者に限らず、病気により退職し家賃が払えなくなる、住居を親族の相続によって突然手放さねばならないなど予測不能のことも起こり得ます。行政の支援を受けずに解決出来る事が一番ではありますが、このような居住支援の仕組みを活用することによって、住み慣れた地域で暮らし続けることが出来るようにしたいものです。また、不動産関係の事業者にとっては、空き家や空室の解消策としても検討する価値のある制度だと言えましょう。
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