商標のコンセント制度 [その2]

著者:【弁理士】大上 寛

※こちらの情報は2025年3月時点のものです

ポケットプレスも3月号となり、もうすぐ春を迎えます。
今年も桜が楽しみですね。日本は四季があり、季節の移り変わりを楽しめるのはとても素晴らしいです。ですが、東京に住んでいても地球温暖化を実感する機会が増えてきた気がします。
なんとなく毎年気温が上がっていることは感じますし、冬が短くなったなあと思うことがあります。
個人的に冬の間は鍋料理をよくいただきますが、
冬が短くなってしまうと将来鍋料理がなくなってしまうのではないかと心配になってしまいます(笑)。
料理も絶滅してしまうことがあるのでしょうか…。
自分が生きている限りは、絶滅しないように頑張って食べ続けようと思います。
さて、今回は以前ご紹介した『商標のコンセント制度』について、アップデートさせていただきます

コンセント制度とは

令和6年4月1日以降に出願した商標登録出願について適用されている新しい制度です。
従来は、「他人が既に登録している商標と類似する商標は登録できない」とされておりました。例えば、A社が商品Pについて商標Mの商標権を取得している場合に、後から、B社が類似の商品Qについて商標Mを出願した場合には、B社の商標Mの登録が認められませんでした。
改正後は、A社の同意があり、出所混同のおそれがない場合には登録が可能となりました。したがって、後から出願するB社にとってはA社の同意を取ることにより、B社の権利として商標権を取得することができるようになり、利便性が向上することになります。
このように「同意」があれば登録を認めるという制度は、外国では「コンセント制度」と呼ばれており、すでに存在しておりましたが、昨年日本でもこの制度を導入する流れとなりました。
制度の開始が令和6年4月1日ですので、令和6年の12月頃からボチボチ制度利用の機会が出てまいりました。
つまり、令和6年4月1日以降に出願された商標で審査待ちであった案件について、審査結果が出され始め、ようやく制度を利用できる状況になってきたと言えます。

特許庁のガイドライン

特許庁では「コンセント制度に関するQ&A」のページを公開しており、制度内容について詳しい説明がされております。
また、この制度を利用する場合に必要とされる書面のサンプルも公開しており、このサンプルに基づいて承諾書などを作成することがよいでしょう。
例えば、承諾書に記載する文面の例については以下のようなものとなっています。
「私、登録第×××号の権利者である「○○」は、「△△(出願人の氏名又は名称)」が、下記の商標登録出願について、商標登録を受けることを承諾いたします。」
結構シンプルですね。また、「合意に関する書類」も必要となりますが、この書類の記載例も紹介されています(商標審査便覧〔42.400.02〕)。

どういうときに利用する?

商標の類似を理由として「商標法第4条1項11号」の拒絶理由通知がされた場合には、対応策の選択肢の一つとして検討することをおすすめします。
承諾は、引用商標の権利者、つまり、他人・他社となることが一般的であり、面識がないことはもちろんのこと、業界が違う場合や、大企業、個人、外国企業、など様々であることが想定されます。
仮に、「承諾お願いします」などと安易にコンタクトしてしまうと、足元を見られて高額な協力金を請求される場合もあるかもしれません。つまり、「200万円で承諾してア・ゲ・ル」などというカウンターもあるかもしれませんので、慎重に対応する必要がございます。

最後に

この制度を使う場合には、承諾相手次第ということもあり、実際の利用は難しいケースが多いかもしれません。円満に解決できればよいですが、コストが発生することは想定しておいたほうが無難です。代理人を立てる場合にも、交渉費用が発生し、相手方代理人の費用も負担する可能性も生じます。
今回の制度により、商標権の取得の可能性は広がりますが、それだけでなく、商標権の価値というものがより一層高まるものと考えます。
「商標権で一儲けできる」などという悪質な業者や、不誠実な権利者も出てくることも予想されますので、そのようにならないように、自社の大事な商標はいち早く出願をして権利化しておくのがよいでしょう。

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