【Q&A】兼業、副業について

※こちらの情報は2019年10月時点のものです

Q.相談内容

弊社は兼業や副業をしている従業員がいます。何か注意点はございますでしょうか。

A.回 答

兼業・副業を行う場合、大きく2つの注意点がございます。

労働基準法38条の労働時間の通算ルール

これは事業場が異なる場合であっても、労働時間を通算するというもので、これにより割増賃金の未払いなどの問題が発生することが考えられます。

この場合における割増賃金の考え方ですが、本業側と兼業・副業側の労働時間が合計して8時間を超えた場合は、原則、兼業・副業側で割増賃金の支払いが必要になります。
ただし、例外的に本業側での支払いが必要になるケースもございます。

下記は一例になります。その他の事例につきましては、「副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&A」をご覧ください。

(例)本業側で所定労働時間4時間と労働契約を締結。兼業・副業側では、それに配慮し同じ日に所定労働時間4時間と締結。その上で、本業側で5時間、兼業・副業側で4時勤務した場合は、本業側で1時間の割増賃金の支給が必要となる。

保険関係の適用

兼業・副業を行う際の労災保険、雇用保険、厚生年金・健康保険の取り扱いは下記のとおりとなります。

労災保険

本業側、兼業・副業側の両方で労災保険が適用されます。
そのため、通勤・移動時に起こった災害については、労災給付の対象となります。この場合、本業の会社から一時的に帰宅する途中に生じた事故であれば本業側での賃金額、本業の会社から副業の会社に移動する途中で生じた事故であれば、兼業・副業側での賃金額に基づいた給付となります。

雇用保険

【1】1週間の所定労働時間が20時間未満である者
【2】継続して31日以上雇用されることが見込まれない者
については加入する必要はございません。また、複数の事業主に雇用されている者が、それぞれで加入要件を満たす場合、主たる賃金を受ける雇用先についてのみ加入となります。

厚生年金・健康保険

【1】事業所毎に判断するため、各事業所で下記適用要件を満たさない場合は、本業側と兼業・副業側の労働時間等を合算して適用要件を満たしたとしても、適用されません。
【2】本業側と兼業・副業側で適用要件を満たす場合、二以上勤務者となり、それぞれで被保険者となります。
その際の保険料は、本業側と兼業・副業側での全ての報酬を合算して、合算額を基に標準報酬月額が決定され、それぞれの報酬額に応じて按分された保険料を管轄の年金事務所(健康保険の場合は、選択した医療保険者等)に納付しなければなりません。

適用要件

パートタイマー・アルバイトとして採用する場合

  • 1週間の所定労働時間……同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上
  • 1ヵ月の所定労働日数……同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上

上記のとおり、兼業・副業に関する注意点を抑えておかないと、割増賃金の未払いが発生したり、保険適用を誤ったりする可能性がございますので、兼業・副業先の労働時間につきまして労働者からの報告を受けて、正確に把握して頂くことをお勧めいたします。

【参考URL】
副業・兼業の促進に関するガイドライン|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf
副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&A|厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000193040.pdf