音楽生成AI

著者:【弁理士】坂根 剛

※こちらの情報は2024年10月時点のものです

8月号のポケットプレスで物価高について触れました。今、出張でカナダに来ているのですが、日本の物価高とは比べ物になりません。カフェで飲み物を飲むと800円は掛かります。カジュアルなレストランでサラダとサンドイッチとビールを2杯飲んだら7,000円を超えました(もちろん、量はどれも日本と比べると多いですが)。日本は所得が伸びていないという事情があるにせよ、物価に関してはまだまだ安価で買える物がある国なんだなぁと実感しています。さて、今回は音楽生成AIの話題です。

音楽生成AI

今や、生成AIは何でもできてしまうと驚きとともに諦めのような心境になっている人もいるかもしれません。確かに生成AIはどんな情報でも学習することが可能であり、どんな情報でも生成することができると言えるかもしれません。音楽生成AIは、過去の多くの音楽を学習させることにより、新たな音楽を生み出すことができます。例えば、特定のミュージシャン“風”の曲を、「バラード」、「ポップ」などのアレンジを指定して生成することができます。

SunoとUdioをRIAAが提訴

生成AIの開発側と著作権を保護する側との間では絶え間ない争いが続いています。6月24日には、全米レコード協会(RIAA)が、音楽生成AIのサービスを提供するSunoとUdioに対して著作権侵害訴訟を提起しました。Suno Incが提供するSuno AIと呼ばれるサービスは、指示文(プロンプトと呼ばれます)を与えることで、AIに作詞・作曲を実行させることができます。自分で歌詞を指定すれば、その歌詞を利用した曲を生成してくれます。「夏の陽気な気分」、「落ち込んだときに聞きたい」、など色々なプロンプトを与えるとそれに沿った曲が生成されます。著作権が問題になっているため、あまりお勧めすることはできないのですが、Sunoのサイトでは無料で曲を生成するサービスも提供しており、Sunoのサイトへ行ってアカウントを作成すれば簡単に曲が作れてしまいます。Udioも同様のサービスを提供しています。Udioのサイトへ行くと、Udioが生成した様々な曲が、曲生成時に与えたプロンプトとともに紹介されています。それらの生成された音楽を初めて聴いた方は、恐らくそのクオリティの高さに驚かされると思います。それらのサンプルを聴いていると、今後の音楽界はどうなってしまうのだろうと正直不安になります。

原告のRIAAには、ユニバーサルミュージック、ワーナーミュージック、ソニーミュージックなどの名立たるレーベルが名を連ねます。原告は、SunoとUdioがAI学習のために著作権保護された多量のコンテンツを無断で使用したとして著作権侵害行為の差し止めと損害賠償を求めています。

今後の展望

生成AIに絡む著作権侵害の争いは今に始まったことではありません。既にOpenAIなどの多くのAI企業が訴訟を提起されています。しかし、このような事態は沈静化することはないでしょう。利益を強く追及する若い企業は、それにより生じるリスクを恐れない傾向があります。日本に比べて訴訟にも慣れている米国企業にとっては、訴訟を恐れるよりもAIにより名を馳せたいとする気持ちの方が勝るのかもしれません。そして、そのような企業は、著作権者の利益について考える余地はあまりないのでしょう。

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