係争対応の難しさ[その2]

著者:【弁理士】大上 寛

※こちらの情報は2025年1月時点のものです

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて新年といえば「年賀状」ですが、ここ数年で個人、法人とも年賀状の送付が減っているようでございます。弊所も送付は廃止をさせていただき、年始の電子メールの際に簡単にご挨拶をさせていただく程度とさせていただいております。
会社の規模や業種によってもいろいろとお考えが異なるかもしれませんね。
「一年の計は元旦にあり」ということわざもありますし、年始はその年の目標設定にも最適なタイミングですね。
年賀状に「今年は〇〇します!」という目標を書かれることも多くありそうですが、年賀状を書くことで具体的な計画が立てられるかもしれません。年賀状にびっしりと計画を書いて友人や家族に送れば、
進捗管理をしていただけるかもしれませんね(笑)。
さて、今回は2025年11月号の記事の続きです。「著作権を侵害しているので販売停止をしてほしい」といった連絡を受けた場合の対応についてです。

1.応答

「著作権を侵害しているので販売停止をしてほしい」という電話やメールを受けた弊所のクライアントは、結局どのように対応したかというと、メールにて相手方の社長さんに以下の内容を回答いたしました。なお、事件の特定を防ぐため一部省略、脚色しております。

  1. 弁護士・弁理士の専門家の見解では著作物性が認められない可能性が高い。
  2. 専門家の見解を踏まえれば著作権侵害が成立しない可能性があると認識している。
  3. しかしながら、侵害の成否は別として、販売を中止する。

2.驚きました

わたくし(弁理士 大上)といたしましても、「著作物性が低い」「著作権侵害の可能性が低い」ということから、「反論してください」「いわば、言いがかりである」との説明をクライアントにしたのですが、クライアントの対応としては、なんと「販売中止」とのことでした。
わたくしとしては、とても意外なことで、大変驚きました。「問題なさそうなのに!!」「なんで販売中止しちゃうの??」と内心思ったのですが、クライアントのお心づもりは以下のようなものでした。

  1. 同業ということもあり、オオゴトにしたくない。
  2. 著作権侵害は成立しないと理解できた。ただし、侵害の成立の有無はあまり関係ない。
  3. そもそも現時点で売上比率が低く、中止をしても大きな問題はない。
  4. ほとんど言いがかりであるとは思っている。ただ、経営が苦しいようでかわいそうな気もするので、意見を受け入れてあげる。
  5. こういう言いがかりをいう会社にはなりたくない。誰からも苦情の来ることがない新製品を開発する意欲が高まった。

ということで、あまり損得で考えることではなく、違った視点を持っていらっしゃいました。特に、⑤については、とても感銘を受けました。

3.「志」とか「器の大きさ」とか

世のオジサンにとって、「器が大きい」というのは最高の褒め言葉ですね。逆に、「ちっちゃい」とか、「セコイ」とか、「志がない」とか言われると、ショックで寝込んでしまう人もいるようです。
「著作権を侵害しているので販売停止をしてほしい」といってきた相手方の社長さんは、「オタクのせいでウチの売上が減った!」とまで電話口で言っていたとのことです。
「そんなの知ったこっちゃない」「それってアナタの問題ですよね」と言いたくなりますよね ……。

4.最後に

実際のところ、著作権侵害が生じる可能性は極めて低かったのですが、クレームを受けた際の対応については、「侵害の成立/不成立」よりも別の所で落ち着くということが多くあります。ケースバイケースなので、決まったものはありません。
ちなみに、メールの返答後、相手方の社長さんからは数ヶ月経っても音沙汰なしとのことです。早計で誤った判断であったと気づかれたのかもしれません。

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