休業手当の支払いについて

著者:【社会保険労務士】玉井 紘明

※こちらの情報は2020年7月時点のものです

新型コロナウイルス感染症の影響により、労働者を休業させ、その期間の休業手当を支払う企業が多く出ていますが、今回は、「休業手当」についてご説明します。

休業手当の支払い義務

労働基準法第26条において「使用者の責に帰すべき事由により休業させた場合、使用者は労働者に対し、1日につき平均賃金の60%以上を支払わなければならない」と定められています。

平均賃金

平均賃金を算定する事由の発生した日(休業した日)以前3ヵ月間に、その労働者に支払われた賃金の総額をその期間の総日数(暦日数)で除した金額をいいます。(最低保障額あり)

休業手当の対象となる休業

「使用者の責めに帰すべき事由による休業」とは、労働者が所定労働日に働くことができる状態であるにもかかわらず、会社側の都合により休ませることをいいます。

※所定労働日:労働契約に従って労働義務がある日

休業手当支払い要否

休業手当が【必要】
  • 会社の故意・過失による休業
  • 機械、設備の故障による休業
  • 資材の不足による休業
  • 経営不振(関連会社含む)による休業
  • 従業員不足による休業

など

休業手当が【不要】
  • 天災事変等の不可抗力による休業
    (台風、地震等の災害など直接的な被害を受けたことによる休業など)
  • 感染症法、労働安全衛生法に基づく出勤停止

休業手当は不要となる不可抗力とは?

  1. その原因が事業の外部より発生した事故であること
  2. 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

の2つの要件をいずれも満たすものでなければならないと解されています。

休業補償との違い

労働基準法において、休業手当のほか休業補償というものがあります。
休業補償は業務上の負傷や疾病のために働くことができない場合にその期間について平均賃金の60%以上を補償するもので、ここでいう休業手当とは意味が異なります。

厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

Q. 労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当の支払いは必要ですか?

A.
新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、休業手当を支払う必要はありません。


Q. 新型コロナウイルスへの感染が疑われる方について、休業手当の支払いは必要ですか?

A.
保健所等に設置される「帰国者・接触者相談センター」でのご相談の結果、職務の継続が可能であると判断された方を使用者の自主的判断で休業させる場合には、休業手当を支払う必要があります。また、発熱などの症状があることのみをもって一律に休ませる措置をとる場合も同様です。(年次有給休暇を一方的に取得させることはできません。)

なお、労働者が発熱などの症状があることから自主的に休んだ場合には、通常の病欠と同様の取扱いとすることで差し支えありません。


Q. 事業の休止などを余儀なくされ、休業とする場合の取扱はどうなりますか?

A.
例えば、海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止である場合には、当該取引先への依存の程度、他の代替手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えられます。


労使がよく話し合って労働者の不利益を回避するように努力することが大切です。