育児・介護休業法改正のポイントについて

著者:【社会保険労務士】鈴木 征夫

※こちらの情報は2021年10月時点のものです

1.はじめに

令和3年6月9日に改正育児・介護休業法が公布されました。改正の趣旨は、「出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設、育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け」等とされており、令和元年度時点で7.48%にとどまっている男性の育児休業取得率を、令和7年度までに目標の30%へ引き上げるための内容が盛り込まれています。今回は、育児・介護休業法改正のポイントについてご説明いたします

2.出生直後の時期に柔軟な育児休業を取得できるようになります。(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

出生直後の時期に柔軟な育児休業を取得できるようになります。(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)
現在、妻の産後8週間以内に夫が育児休業を取得した場合、2回目の育児休業を取得できるパパ休暇という制度がありますが、実態として取得が進んでいないため、より利用しやすい制度を目指し、産後8週間以内に4週間まで2回に分割して休業を取得することができる出生時育児休業(男性版産休と呼ばれています)が新たに創設されました。

また、今回の改正では、これまで分割して取得することができなかった育児休業についても、2回まで分割して取得することができるようになり、男性労働者がより柔軟に仕事と育児を両立できる制度に変更されました。

3.有期雇用労働者の育児休業取得要件が緩和されます。(施行日:令和4年4月1日)

現在、有期雇用労働者が育児休業を取得するためには、

  • 引き続き雇用された期間が1年以上であること
  • 子が1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでないこと

の2つの要件を満たしていることが条件となっていますが、このうち「引き続き雇用された期間が1年以上であること」の要件は廃止され、入社後1年に満たない有期雇用労働者でも育児休業を取得することができるようになります。ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することが可能とされました。

4.男性労働者が育児休業を取得するメリットについて

男性労働者が育児休業を取得することで、家庭と仕事を両立できるようになるだけではなく、人材育成の機会として活用している企業もあります。育児休業を取得する男性労働者の業務引き継ぎを通じて仕事の可視化・標準化が進むため、結果として業務全体の効率化を推進することができ、若手労働者の離職防止にも寄与する結果が出ています。

また、男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続14日(中小企業は連続5日)以上の育児休業を取得した場合、両立支援等助成金(出生時両立支援コース)を受給することができます。

5.最後に

今回の育児・介護休業法改正では、「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」、「妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置」についても新たに義務付けられました。

こうした制度に関するお問い合わせや、法改正に伴う就業規則の変更等につきましては、是非、お気軽にご相談ください。

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