労働災害と企業の責任について

※こちらの情報は2024年7月時点のものです
企業は事業活動の目的に従い、従業員を雇用し継続的に生産・販売・サービスなどの経済活動を営む法的な組織体です。もし、企業の従業員に死亡災害等の労働災害が発生した場合には、企業としてどのような責任が発生するのでしょうか。以下に説明させていただきます。
労働災害とは
労働災害とは、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、または作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡することをいいます。(労働安全衛生法2条1号)
一般的に、労働災害というと、工場で作業中に機械に巻き込まれて怪我をしたり、建設現場での高所作業中に転落して死亡したりするような事故による災害がイメージされることが多いかもしれません。しかしながら、休業4日以上の死傷災害の中で最も多いのはつまずき等による転倒災害で、全体の23%を占めています。また、長時間労働やパワハラによる精神疾患、職業病や業務による過重負荷によって引き起こされる過労死も労働災害に含まれます。
労働災害が発生した場合の企業の責任について
労働災害が発生した場合、企業側は①刑事責任②民事責任③行政上の責任④社会的責任の4つの責任を負う可能性があります。
①刑事責任
刑事責任としては、労働基準監督署による労働安全衛生法違反の罪と警察署による業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。
- 労働安全衛生法違反について
労働安全衛生法は事業者が果たすべき危険防止や健康障害の防止、労働災害の防止などのために必要とされる措置が定められております。同法違反が認められると、実際に違反をした者が罰金に処されるだけでなく、会社も罰金に処されます。(同法116条、117条、119条、120条) - 業務上過失致死傷罪について
業務上必要な注意を怠り、人を死傷させた者は業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。
②民事責任
労働災害が発生した際、会社の民事的責任は労災保険による補償の給付で果たすことになります。しかし、労災保険には慰謝料や療養のために発生した親族などの所得喪失などは給付の対象となりません。そのため、これを不服として労働災害の被災者や遺族から会社は民事上の損害賠償責任を追及される可能性があります。会社に民事上の損害賠償責任を問う場合の法的根拠としては、「不法行為責任」「安全配慮義務の債務不履行」などがあります。また、役員や社員個人も不法行為責任が追及される可能性がありますので注意が必要です。
③行政上の責任
労働災害が発生した場合、労働安全衛生法違反や労災発生の急迫した危険がある場合には、労働基準監督署からの是正勧告や改善指導、機械設備の使用停止や作業停止等の行政処分等を受ける場合があります。
④社会的責任
労働災害が報道されることにより、社会的評価を下げる可能性があります。また、労働災害による直接及び間接コスト(間接コストは直接コストの4倍かかると言われている)により、企業としての基盤が危ぶまれることになります。
労働災害防止のために
厚生労働省の公表によりますと、令和4年1月から12月までの新型コロナウィルス感染症へのり患によるものを除いた労働災害による休業4日以上の死傷者数は132,355人(前年比1,769人増)と過去20年で最多となりました。また、従業員数50人未満の小規模事業所では、大規模事業所に比べて労働災害の発生率が高くなっております。小規模事業所では、災害防止対策を実施する上で人材、費用などが課題になる一方、全員が一体となって取り組むことが容易にできます。従業員が安全で健康的に働けるよう、工夫をしながら対策を進めることが必要です。

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