積立有給休暇制度の導入とその効果について

※こちらの情報は2024年11月時点のものです
現代では働き方改革の一環として、従業員の多様なニーズに応えるためのさまざまな取り組みが行われております。特に少子高齢化が進む中で、介護や育児など家庭事情に対応する為柔軟な働き方が求められており、積立有給休暇制度は法律で定められている制度ではないですが、福利厚生の充実に繋がり従業員にとっては魅力的な制度となっております。
今回はこの積立有給休暇制度を導入する際のポイントについてご説明いたします。
まずは年次有給休暇の発生要件や日数についてご説明いたします。業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければなりません(労働基準法第39条)。
使用者はその雇い入れ日から起算して6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、10日の年次有給休暇を与え、その後1年間継続勤務するごとに、当該1年間において所定労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、下の表のとおり勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与えることとなっております。
| 勤続勤務期間 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 | 
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 | 
週所定労働時間30時間未満であり、かつ、週所定労働日数が4日以下(週以外の期間によって所定労働日数を定める労働者については年間所定労働日数が216日以下)の労働者に対しては、次頁の表のとおり所定労働日数及び勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与えることとなっております。
| 週所定労働時間 | 年間所定労働日数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 | 
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 169日~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | 
| 3日 | 121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | 
| 2日 | 73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | 
| 1日 | 48日~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 | 
年次有給休暇は発生日から2年で時効により消滅します。積立有給休暇制度は従業員が取得せずに時効となった年次有給休暇を消滅させずに積立、後日特定の用途に使用できるようにする制度となります。
導入するメリットとしてはすでにお伝えしたように、従業員の福利厚生面を充実させることにより雇用の確保及び継続することが期待出来ます。
デメリットとしては、人件費の増加、長期による取得があった際の人員確保の手間などが挙げられます。
積立有給休暇制度は任意で導入する制度となっている為、積み立てる日数や使用用途などのルールは会社で決めることが可能となります。導入する際に決めておくべき事項をご説明いたします。
①積立日数の上限
積立日数を何日にするかは事業所によって決めることが出来ます。長期の療養や介護などで必要な期間を想定して40日~60日と定めることが多いようです。
②取得単位
全日・半日・時間単位など事業所の実態に合わせて決めることが可能です。
③使用事由
積立休暇の使用事由として多いのは、①私傷病による休業、②育児による休業、③介護による休業となっております。
④申請方法
年次有給休暇同様、申請先・取得開始何日前までに申請するなど円滑な運用のために、あらかじめ定めておくと良いです。
⑤優先順位
法定の年次有給と積立有給のどちらを優先して有給を消化するかを定めておくことをおすすめします。年次有給休暇を10日以上付与される従業員は年5日取得させることが義務となっているので法定の年次有給休暇から消化するように定めることが一般的です。
⑥退職時の取り扱い
退職時の取り扱いを明確にしておくことで、トラブルのリスクを減らすことが出来ます。積立有給休暇制度は会社で決める任意の制度ですので、退職時に取得することを認めなくても特段問題はございません。
法改正や今回ご案内しました積立有給休暇制度導入をされた際は就業規則の変更が必要となりますので、この機会に作成・見直しをされてみてはいかがでしょうか。TSCでは就業規則の見直し・作成などのコンサル業務もお受けしておりますので、お気軽にご連絡ください。

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