副業・兼業を行う労働者の労働時間管理

著者:【社会保険労務士】鈴木 征夫

※こちらの情報は2025年4月時点のものです

1.はじめに

副業・兼業は、労働者が離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることでキャリア形成につながる点や、所得を増加させることができる点など、いくつかのメリットがあるため、近年、副業・兼業を希望する労働者の数は増加傾向にあります。
実際に、副業・兼業を行っている労働者を新たに採用した経験のある企業の皆様も多いのではないでしょうか。
ただし、適切な労務管理が行われていない場合、副業・兼業を行う労働者を新たに採用した結果、気付かないうちに法令違反に該当してしまうケースがあるため、注意が必要です。
今回は、副業・兼業を行っている労働者を雇用する際に必要な労働時間管理についてご説明いたします。

2.労働時間の通算

労働基準法第38条第1項では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されており、「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合も含むものとされています。そのため、副業・兼業を行っている労働者の労働時間については、先に労働契約を締結している副業・兼業先(企業A)の労働時間と、後から労働契約を締結した自社(企業B)の労働時間を通算し、時間外労働の管理を行う必要があります。下記例1、例2のように、自社の労働時間だけでは時間外労働に該当しない場合であっても、副業・兼業先の労働時間を通算した結果、時間外労働が生じるケースがあり、その場合には割増賃金の支払いが必要となります。
自社の労働時間だけを管理し賃金を支払っている場合、気付かないうちに割増賃金未払いの問題が発生している可能性があるため、必ず事前に副業・兼業先の労働時間を労働者へ確認し、通算した労働時間を管理していただく必要があります。

3.36協定の締結・届出

これまで、時間外労働・休日労働に該当する労働者がいなかったため「時間外労働・休日労働に関する協定届」(36協定)を締結・届出していなかった企業においても、副業・兼業を行う労働者を採用した結果、新たに36協定の締結・届出が必要になる場合があります。
仮に、時間外労働に該当することに気付いていなかった場合であっても、36協定の締結・届出をせず時間外労働または休日労働をさせた場合には、罰則の対象となってしまう可能性があるため、注意が必要です。

【参考URL | 厚生労働省ホームページ】
副業・兼業の促進に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

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