介護サービス事業者の経営情報の公表制度について

著者:【税理士法人 谷野会計】谷野 芳枝

※こちらの情報は2025年1月時点のものです

少子高齢社会となった今日でも、多くの人が「介護施設に入らず自宅で過ごしたい」と考えていますが、他方でなるべく家族の迷惑にならない生活を送りたいとも思っています。
厚生労働省は、2040年には高齢者の3人に1人が認知機能の低下が見られる「認知症」と「軽度認知障害(MCI)」になるとの予測を公表しました。認知症を予防したり遅らせたりするための施策や認知症の人との共生の施策も始まっていますが、もし介護が必要になった時には、介護施設への入所も考えておかないといけないのではないでしょうか?
高齢者が介護施設を選ぶ時にとても重要なポイントとなるのは施設の経営状況ですが、これについて誰でも把握することが出来るような制度が求められます。
そこで、今回は厚生労働省が2025年から公表を始める予定の「介護サービス事業者の経営情報の公表制度」についてご説明したいと思います

2023年5月に一部改正された介護保険法により、「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」を行う事業が導入されることになりました。この事業の主旨としては、介護事業者を取りまく様々な課題に対して的確な支援策を検討するために、経営情報を収集し、データベースを整備するというところにあります。
しかし、介護事業者の経営情報が公表されることは、介護施設の利用を検討する側にとってもたいへん有意義な制度となります。

1.制度の概要

2040年を見据えた人口動態等の変化、生産年齢人口の減少と介護現場における人材不足の状況、新たな感染症等による介護事業者の経営への影響を踏まえた支援、制度の持続可能性などに的確に対応するとともに、急な物価上昇や災害、新たな感染症等が経営に及ぼす影響を踏まえた迅速な支援策の検討を行うためには、 従前からの3年に1度の介護事業経営実態調査だけでなく、これをタイムリーに補完する必要があります。
そこで、介護サービス事業者の経営情報の収集及びこれらの情報のデータベースを整備し、かつ収集した情報を国民に分かりやすく属性等に応じて整理した分析結果を公表する制度を、2024年4月より施行し、順次実施していくことになりました。 

2.データベースの概要

  1. 対象:原則、全ての介護サービス事業者に経営情報の報告義務が課せられます。
    ※ただし、「過去1年間で提供を行った介護サービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下の事業者」及び「災害その他都道府県知事に対して報告を行うことが出来ないことにつき正当な理由がある事業者」は対象外となります。
  2. 収集する情報:介護施設・事業所における収益及び費用、職員の職種別人員数、職員別の給与(給料・賞与)、その他必要な事項
  3. 公表方法:
    【厚生労働省】属性等に応じて整理した分析結果を公表(インターネット等)
    【都道府県】区域内の事業者の経営情報の調査・分析内容の公表(ただし、努力義務)

3.公表された情報の活用

高齢者が入所できる介護施設については、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、有料老人ホーム(介護付き、住宅型、健康型)、認知症グループホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅、老人向け分譲マンションなどたくさんの種類があります。
公的施設への入所を希望しても多数の順番待ちなどでなかなか叶わなかったり、入所費用が高額で手が届かないなど様々な困難がありますが、公表制度が始まれば、失敗しない施設選びのための重要な検討事項を与えてくれることになると思われます。
そして、経営情報だけでなく、様々な条件を検討したうえで、自分に最も適した施設を選びたいものです。

データベース運用のイメージ
※厚生労働省ホームページ 「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」より
https://www.mhlw.go.jp/stf/tyousa-bunseki.html

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