相続人不在で遺産はどうなる?

※こちらの情報は2025年7月時点のものです

近年のライフスタイルの多様化で、配偶者も子供もいないという人は少なくありません。
いわゆる〝おひとりさま〟は自分が亡くなった後誰が相続人になるのか、疑問や不安を持っている人も少なくないのではないでしょうか。
国税庁の相続税申告件数でみても、法定相続人の数が0人または1人の場合の申告件数が増加傾向にあります。
単身の人が老後のためにと蓄積した財産を残したまま相続が発生した場合について説明したいと思います。
遺産を相続できる相続人
民法では、亡くなった人の遺産を相続できる相続人(法定相続人)について右記のように定めています。まず、法定相続人がいるかどうかを確認しましょう。
よくあるケースとしては、配偶者や子供がおらず、両親も亡くなっている場合です。第3順位の兄弟姉妹に遺産は相続されますが、すでに亡くなっている兄弟姉妹に子どもがいる場合は、それらの子どもが相続人になります。
遺言書がある場合
特定の相続人に多く財産を相続させたいときや法定相続人以外の人(受遺者)に遺産を取得させたいときは、その旨の遺言書を残します。遺言書があれば、自身の意思を尊重した遺産相続が可能となります。その場合、遺留分(兄弟姉妹以外の相続人に法律上保障されている最低限の遺産取得分)に注意しないといけません。
遺産を相続する人がいない場合
相続人のいることが明らかでない場合は、利害関係人又は検察官の請求により、家庭裁判所が「相続財産の清算人」を選任します。その後、家庭裁判所は官報によって、6か月以上の期間を定め相続人がいればその期間内に申し出るよう公告します。同時に、相続財産清算人はすべての相続債権者及び受遺者に対し、2か月以上の期間を定めてその期間内に請求の申し出をするよう公告します。そして、裁判所の公告の期間内に相続人が見つからなかった場合は、遺産は以下のように分配されます。
- 被相続人に債務があった場合
被相続人に債務があり、債権者から申し出があった場合は、遺産はまず債権者に分配されます。 - 受遺者がいた場合
遺言書があることになりますので、それに従って受遺者が遺贈の対象となった財産を受け取ります。 - 特別縁故者への分配
1、2の清算処理をしてもなお残存する遺産がある場合は、家庭裁判所は特別縁故者からの請求によって残存遺産の一部または全部をその者に与えることがあります。特別縁故者として認められる可能性があるのは、 被相続人と生計を同じくしていた人、 被相続人の療養看護につとめた人、被相続人と特別密接な関係にあった人などで、個人だけでなく法人も認められる場合があります。特別縁故者と認められるためには、上記の裁判所の公告期間満了後3か月以内に家庭裁判所に申立をしなければなりません。 - 相続人も特別縁故者もいない場合
民法第959条にもとづき財産は最終的に国に帰属することになります。国庫に帰属することを避けるためには、財産を誰に残したいのか、どのように活用してほしいのかを生前にしっかりと考えて、遺言を残しておくことが重要といえます。ちなみに、遺言の方式には平常時のものとして「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類がありますが、民法の定める方式に従っていないと遺言は無効になってしまいます。「自筆証書遺言」の場合、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば、費用も少なく、保管を申し出たときに遺言書保管官による方式上のチェックが受けられ、長期間適正に管理されるうえ、相続開始後に必要な家庭裁判所による検認手続も省くことができます。
ただし、遺言書を法務局に預けていることを生前に信頼できる人に言づけておかないと、相続開始後、利害関係者に遺言書のあることが分からないといったリスクもあります。また、公証人が作成してくれる「公正証書遺言」は多少の費用が要りますが、遺言が無効になる可能性が低く安心できます。

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