「求人」の注意点・ポイント

著者:【社会保険労務士】小林 研矢

※こちらの情報は2020年9月時点のものです

長らく続いていた求人数の増加傾向は、新型コロナウィルス感染拡大の影響によって一転し、求人数は急激な減少の一途をたどっています。目まぐるしい変化が起きている求人市場ですが、事業者にとって採用活動は、これからも事業の存続や発展の為に必要不可欠であることは言うまでもありません。凍結していた採用活動を再開している人事担当の方も現状は採用予定がない人事担当の方も再開に向けてしっかりとした準備が必要です。

私自身、社会保険労務士になる以前、求人広告の制作に携わる仕事を長年続け、多くの人事担当の方と求人内容の打合せを重ねてきました。そこで今回は当時の経験も踏まえて「求人」をテーマにその注意点やポイントを解説いたします。

求人内容には細心の注意が必要

今年1月からハローワークで求人の申込みを行う際にオンラインによる受付が開始され、これによって会社のパソコン等からそれまでよりも容易に申込みをすることが可能になりました。しかし、ハローワークへ行く必要がなくなったことによって窓口で相談する機会が自然と減った為、求人票を作成する際は、より慎重な考え方が求められるようになりました。

求人内容は事業者にとって人材確保の為に大変重要な情報ではありますが、求職者にとっても自分の将来を左右する大変重要な情報でもあります。また求人内容の記載については、雇用対策法や職業安定法によってもいくつかのルールがあり、違反に対しては罰則も定められています。しかし、近年はこの求人内容によるトラブルも非常に多く発生しているのも事実です。ルールを守ることはもちろんですが、誤解や勘違いを招くような表記がないように細心の注意を払う必要があります。

給与について

「月給15万円~30万円 ※経験・能力考慮」このように給与に幅を設けて掲載している求人をよく目にします。未経験者は15万円、キャリアを積んだ即戦力には30万円、このような考えで設定していることかと思われます。しかし、あまりにも幅が広い給与の設定は求職者に曖昧な印象を与え、不信感をもたせることもあります。

このような場合、例えば「現場作業員」と「現場作業員(管理者候補)」、「調理スタッフ」と「調理長候補」等のように募集を二つに分けることで給与をそれぞれ記載し、明確にすることができます。募集ごとに採用計画を立てる必要はありますが、給与以外にも欲しい人材に向けたメッセージを具体的に送ることができます。未経験者向けの求人はより分かりやすい内容で、経験者向けの求人はその仕事の価値がより伝わる内容を伝えることで応募効果を高める期待ができます。

仕事内容について

仕事内容は、求職者が仕事を探す上で重点を置く求人条件の一つです。自分がやりたい仕事、自分に適した仕事、自分の能力が発揮できる仕事等の理由から希望の仕事を探しています。その為、求職者に仕事内容をしっかり伝える必要がありますが、同じ職種でも仕事内容は様々です。

例えば「営業職」といってもその内容は「新規開拓営業」「ルート営業」「企画営業」だったり、また業種によってもその営業スタイルは大きく変わってきます。求職者に自分の探している仕事にたどりついてもらう為には、自分が働く姿をしっかりイメージできるような仕事内容を工夫して表現することが大切です。

試用期間について

従業員を本採用するまでの期間として試用期間を設ける事業者が多くあります。事業者にとって従業員の能力や適性を見極める期間として重要な期間でもあります。しかし一方で従業員にとってこの期間は、文字通り「試されている期間」と感じる人も多く、不安定な期間とも言えます。

一般的に試用期間は1~6か月程度としている事業者が多くありますが、必要以上に長い期間を設けることは求職者にとってはマイナスポイントにもなりかねません。期間を変更する場合には就業規則等の変更も必要にはなりますが、改めて必要な期間であるか見直すことも必要です。

応募書類について

職務経歴書は求人者からすると採用選考の為にも必要な書類です。しかし、人事担当の方に改めて話をお聞きすると「別になくてもいいかな」という回答が意外な程、多く返ってきます。未経験者や就業経験が浅い人達にとっては職務経歴書の提出は選考に不利になると尻込みをしてしまう人もいます。未経験者を積極採用する場合等では本当に必要な書類かどうか改めて検討してみましょう。

また必要な場合でも「面接シート」のようなものを準備し、応募時でなくても面接時に説明してその場で書いてもらう方法もあります。この方法を使えば極端に言うと応募時に履歴書を不要とすることも可能です。履歴書は採用が決まってから提出してもらっても構いません。応募書類を「不要」とすることは、短期間で一人でも多くのアルバイトを採用したい場合等、より気軽に応募してほしいときには有効な方法です。

応募がなくて困っているというような場合、固定観念にとらわれない考え方もしてみてはいかがでしょうか。