求人票を作成する上でのポイント

著者:【社会保険労務士・ 2級ファイナンシャル・プランニング技能士】玉井 紘明

※こちらの情報は2017年12月時点のものです

 現在、人材不足に悩む企業は全国的に多いようです。人材不足は、業務が忙しくなるだけではなく、企業の存続にまで影響する可能性があります。
 採用活動をしても応募が少ない、必要な人員が確保できない、せっかく面接をしても条件が合わない、採用しても定着しないなど、採用に苦戦している企業のために、今回は、少しでも求人の応募数を増やし、採用のミスマッチを無くすために求人票を作成する上でのポイントをご説明します。

1.事業内容・仕事内容・人材要件等の明記

 求人情報が少ないと、求職者の印象に残りづらく、敬遠されてしまうこともあります。
 また、せっかく面接をしても期待していた内容とは違うという理由で採用にならないこともあります。

  • 事業内容
    どんな事業をしている会社なのかをわかりやすく記載し、自社の魅力や社風など自社をアピールするコメントも入れましょう。また、数字があると具体性や信憑性が増すので、「8割の人が5年以上勤務」「残業時間は月20時間程度」など数字でアピールできることがあれば記載しましょう。
  • 仕事内容
    「○○の営業」「一般事務」「ホールスタッフ」と記載するだけではなく、どのような仕事なのか明確にし、具体的に行う仕事の内容を列挙しなければ求職者はイメージができません。
  • 人材要件
    経験・経歴、免許・資格などの人材要件が「不問」では、誰でもいいということになり、経験がある人材が集まらない原因にもつながります。
     「未経験者」でもよいのであれば、入社後に研修があること、資格取得のバックアップをしていること、未経験からスタートした先輩がいること、など未経験者が応募したいと思ってもらえることを記載すべきでしょう。

2.労働条件の明記

労働条件について、同業他社、同職種と比較する。

 賃金、労働時間、休日等の労働条件は、同業他社、同職種の求人と比較されやすいため、他の求人情報をリサーチし一定水準以上の労働条件を設定するか、何かしらアピールすることが重要です。

  1. 賃金
     賃金は求職者が最も重視する条件の1つであり、すぐに目に止まりやすい項目です。他の労働条件が同じ場合、同職務であれば賃金が高い方を選択するのは、当然のことです。同業他社、同職務と比較し、賃金が低すぎないか確認しましょう。また、賃金の総額が同じでも基本給が低すぎる場合(基本給120,000円、営業手当100,000円 合計220,000円)や賃金の幅が広すぎる(180,000円?350,000円)は不信感を持たれる可能性があります。
  2. 休日
    完全週休2日制の年間休日数である104日を下回る休日日数は、応募者数を減らしてしまう原因になります。業種によっては、厳しいかもしれませんが最近は、年間休日日数が120日以上の会社も多く存在します。
     休日日数が少なくても「年次有給休暇を積極的に取得させている」「勤続年数に応じたリフレッシュ休暇など特別な休暇がある」ということがあれば求職者の興味を引き付けます。

固定残業代がある場合は求人票に明示する。

 固定残業代について、採用後、時間外労働に関するトラブルが多いことを背景に、若者雇用促進法の施行により、固定残業代を採用している場合、求人において、適切な表示をするよう定められました。

  • 求人票に記載しなければならない3つの内容
    1. 固定残業代を除いた基本給の額
      【例】基本給150,000円(固定残業手当を除く)
    2. 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
      【例】固定残業手当(時間外労働の有無にかかわらず、45時間分の時間外手当として49,000円を支給する)
    3. 定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
      【例】45時間を超える時間外労働については、超えた分の割増賃金を別途支給する。