テレワークにおける労務管理について

著者:【社会保険労務士】池田 文昭

※こちらの情報は2021年4月時点のものです

新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークの必要性が高まりました。拡大後は政府のテレワーク推奨の影響もあり、はじめてテレワークを導入する企業や、職種を限定せず全社的なテレワーク実施に移行する企業も現れています。今回はテレワーク導入での労務管理のポイントについて説明をしていきたいと思います。

テレワーク導入のメリット

  1. 通勤時間がなくなることによる時間の有効活用、落ち着いた環境での作業効率アップ、ワークライフバランス向上によるモチベーションアップなどで、労働生産性が向上します。
  2. 文房具や用紙代の節約、通勤費などがなくなる等オフィスコストの大幅な削減が可能です。
  3. 自宅での労働が可能となるため、子育てや介護などの事情で優秀な人材が退職するのを防げます。
  4. 自然災害やパンデミック時などでも、事業場所が分散していることで企業活動の継続性が高まります。

適切な労務管理

  1. 労働基準関係法令の適用
    テレワークで従事していても、「労働基準法」「最低賃金法」「労働安全衛生法」「労働者災害補償保険法」が適用されます。
  2. 労働条件の明示
    労働契約を締結する際、労働者に対し、賃金、労働時間の他に、就業場所に関する事項の明示をしなければなりません。また、テレワークで従事してもらう場合、就業場所としてテレワークを行う場所の明示が必要です。
    また、テレワークの実施とあわせて、始業及び終業の時刻の変更等を行うことを可能とする場合は、就業規則に記載するとともに、その旨を明示しなければなりません。
  3. 労働時間の適正な把握
    使用者は、その労働者の労働時間について適正に把握する責務を有し、みなし労働時間が適用される労働者や労働基準法41条に規定する労働者を除き、「労働時間の適正な把握のための使用者が構ずべき措置に関するガイドライン」に基づいて、適切な労働時間管理をしなくてはいけません。
    会社と労働者がIT機器で接続されていれば、社員の労働時間の管理は可能です。以下の内容を把握しましょう。

    ●労働時間やどのような作業を行ったかの日報
    ●始業時の上司へのメール、もしくは電話
    ●終業時の上司へのメール、もしくは電話
    ●パソコンの使用時間

    これらを把握すれば、在宅勤務の労働者でも具体的な労働時間の把握が可能です。労働時間や始業・就業時間の報告は、在宅勤務者の日課としてルール決めしておきましょう。

労働災害の補償に関する留意点

テレワークを行う労働者については、事業場における勤務と同様、労働基準法に基づき使用者が労働災害に対する補償責任を負うことから、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じたテレワークにおける災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となります。ただし、私的行為等業務以外が原因であるものについては、業務上の災害とは認められません。在宅勤務を行っている労働者等テレワークを行う労働者については、この点を十分理解していない可能性もあるため、使用者はこの点を十分周知することが望ましいです。

最後に

「労働時間の適正な把握」は重要なポイントです。労働時間を適正に把握できれば、残業のしすぎや長時間労働を防ぐことができ、社員の労働生産性の低下を防げます。また、適切な給与の支払いも可能となり、社員のモチベーションを維持できます。


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