1か月単位の変形労働時間制について

著者:【社会保険労務士】平良 顕治

※こちらの情報は2021年6月時点のものです

1か月単位の変形労働時間制とは1か月以内の一定の期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲内であれば、1日および1週間の法定労働時間の規制にかかわらず、これを超えて労働させることができる制度です

原則的な法定労働時間である1日8時間、週40時間という枠にとらわれずに、変形期間を平均して週40時間(従業員10名未満で商業等の一定の事業所は44時間)以内であれば、ある1日の所定労働時間が8時間を超えたり、ある週の所定労働時間が40時間を超えても法定時間外労働とみなされない、というものです。

1か月単位の変形労働時間制を導入する業種としては、サービス業や宿泊業、製造業や4週6休制、4週7休制、隔週土曜日出勤等の事業所が多いと思います。そのような事業所は勤務をシフトで管理していることが多く、シフト管理は従業員の法定休日の確保や忙しい日に効率的な人員配置を行うために必要となります。

シフト制の事業所において、ある月の第1週の休日は1日、第2週の休日は3日のシフトを組む場合、第1週の労働時間は1日8時間×6日なので週労働時間は48時間となります。
第2週の労働時間は8時間×4日で週労働時間は32時間となります。2週間の週労働時間の平均は40時間ですが、原則的な法定労働時間の考え方では第1週は8時間の時間外労働となります。

【例】のようなシフト制の場合は、法定時間外労働になることを避けるため1か月単位の変形労働時間制の導入をされたほうが良い場合があります。
具体的には月の歴日数が31日の月は、1か月の労働時間が177.1時間以内、30日の月は171.4時間以内(月の歴日数で変わってきます)であれば法定時間外労働にはならないため、割増賃金は発生しません。但しシフト等で予定していた、ある1日の所定労働時間やある週の所定労働時間が延長して法定時間外労働となった場合は割増賃金が発生します。
1か月単位の変形労働時間制は、労使協定や就業規則、その他これに準じるもので変形労働時間制を適用することを定め、1か月の労働日、労働時間、休日を記載したシフト表等を遅くとも変形期間開始日の前日までに労働者に周知し、またその作成方法、周知方法等も定めなければなりません。
このような変形労働時間制は他にも1年単位の変形労働時間制や1週間単位の非定型的変形労働時間制等があります。

変形労働時間制はコロナ禍の中で、効率的な経営や従業員の休日確保等を考える時の選択肢の一つになると考えます。
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