特許侵害で逮捕!

※こちらの情報は2024年6月時点のものです
内閣府から2月15日に発表されたGDP統計の1次速報によれば、日本の名目GDPがドイツに抜かれて世界4位に転落しました。2023年の日本の名目GDPは591兆4820億円であり、ドルに換算すると4兆2106億ドルとなり、4兆4561億ドルのドイツに抜かれました。日本のGDPは長年アメリカに次ぐ2位でしたが、2010年に中国に抜かれ、そして、2023年にドイツにも抜かれたことになります。今回の順位変動は日本の円安が大きく影響した結果ですが、やはり残念な結果です。話はガラっと変わりますが、今回は、「特許侵害で逮捕!」がテーマです。
特許侵害で逮捕!
先日、知的財産業界ではある事件がちょっとした話題となりました。ネット上に「ピアノシューズの無許可販売により、特許法違反容疑で男性逮捕」のニュースが流れたからです。2024年3月5日、茨城県警竜ケ崎署は、他人の特許権に係るピアノシューズを無断で販売したとして、神戸市の男性を逮捕したと発表しました。特許侵害に関するニュースは巷に溢れていますが、このニュースが話題となったのは、侵害者が逮捕された点にあります。特許侵害においては、民事裁判が行われ、侵害者に対して差止請求や損害賠償請求がされることは一般的です。しかし、特許権の侵害者に刑事罰が科されることが極めて珍しいのです。
ピアノシューズ特許
侵害されたピアノシューズ特許の権利者は、茨城県の女性です。このピアノシューズの特許(特許第5470498号)は、ヒールの位置に工夫があります。通常の靴であれば、ヒールは靴底の最後部(踵側)に取り付けられていますが、この特許に係るシューズでは、ヒールの位置が最後部より前側に取り付けられています。これにより、ヒールの後端を支点として靴を上下方向にシーソー動作することが可能であり、ペダルを踏みやすい構造となっているようです。逮捕された男性が経営する会社は、この女性から委託を受けてピアノシューズを製造していましたが、今回のケースでは男性は無断でこのピアノシューズを販売した模様です。男性は、2021年5月から翌年4月にかけて、問題となったピアノシューズ8足をフリマアプリを利用して販売した容疑で逮捕されました。男性は、女性の販売するピアノシューズを定価の約半額の1万3000円~1万5000円で販売していたようです。
特許法第196条
特許法第196条は、「特許権又は専用実施権を侵害した者(…中略…)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定しています。特許権を侵害した者は刑事罰が科されることは明確に規定されているのですが、実際に刑事罰が適用されることはまずありません。特許権が侵害されている疑いがある場合、一般には、まず特許権者は相手方に対して警告文を送付します。そして、警告によっても是正されない場合には、民事裁判を起こし、差止請求や損害賠償請求を行います。今回のケースで侵害者が逮捕されるに至ったのは、悪質な状態が継続したなど、特別の事情があったものと思われます。

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