企業内承継について

著者:【弁護士】吉川 法生

※こちらの情報は2020年5月時点のものです

今回は、親族以外の役員や従業員に対する企業内承継についてご説明します。

企業内承継のメリットとして、

  • 経営者として能力のある人材を見極めて承継することができること
  • 社内で長期間働いてきた従業員であれば経営方針等一貫性を保ちやすいこと

などがあげられます。
課題として、

  • 現経営者の親族の理解、他の役員や従業員の信頼、重要な取引先やメインバンクの理解を得ることが困難であったり、時間がかかること
  • 承継のための株式や事業用資産の譲渡に資金を調達する必要があること、及び親族との合意形成が必要なこと
  • 金融機関から個人保証を求められることがあること

などが考えられます。

について

後継者と現経営者の親族との関係を調整するための種類株式の活用と資金調達の方法について述べます。

種類株式の活用

前回の親族内承継2の4で説明しました③議決権制限種類株式、その中でも無議決権株式(議決権のない株式)、①・②の優先株式の発行、あるいは、これらを組み合わせた株式を発行することが考えられます。

資金調達の方法
  • 経営承継円滑化法の金融支援
    都道府県知事の認定を受けることによる信用保証協会の保証や日本政策金融公庫等からの株式買取資金の融資
  • 特定目的会社の設立

などが考えられます。

他方、資金調達が困難な場合、現経営者が引退するときに一定額の退職慰労金を支払うことで株式の評価を下げ、現経営者から後継者へ株式を生前贈与する、あるいはその株価での売却をするなどが考えられます。

について

前回の親族内承継2の5で触れていますとおり、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会によって策定された「経営者保証に関するガイドライン」の活用等を通じて、現経営者、後継者、その他関係者が納得できる処理方法を検討することが望ましいと考えられます。

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