属地主義と商標権

著者:【弁理士】大上 寛

※こちらの情報は2023年5月時点のものです

あっという間に桜の季節もおわり、GW突入となりました。海外渡航の制限も本格的に解除され、海外旅行の熱も高まる一方です。海外から日本への旅行者も増え、インバウンド消費も期待されます。日本の観光や食文化のすばらしさを多くの外国人に体験していただきたいですね。
さて、海外旅行の一つの楽しみは『お買い物』ですね。憧れのハイブランドを現地の正規店で購入することは、単なるモノの購入だけではなく、そのお店の雰囲気や店員さんとの会話なども含め、とても素晴らしい体験となることでしょう。ネット購入・宅配とは比較になりません(笑)。現地の正規店で購入すれば、ニセモノをつかむこともなく安心ですね。
海外に関するトピックとして、今回は『属地主義と商標権』について簡単にお話させていただきます。

1.「属地主義」とは

法律の効力範囲は、その法律が制定された領域内で限定して認められるということです。例えば、米国では銃の所持が一般人に認められるという法律があっても、日本では認められないといったことがあります。
商標権に関していうと、商標権は登録された国のみで効力を発揮しますので、日本で登録された商標権は日本国内でのみ効力を発揮します。したがって、外国でも保護を求める場合は、その国で権利を取得する必要があります
海外のハイブランドが日本で保護されるのも、各ブランドが日本で商標登録出願をして商標権を有しているためです。商標権は10年毎に更新することができますので、半永久的に権利を維持することができ、ニセモノを排除することが可能となります。ブランド化を図るためには、属地主義のもと、各国で商標登録をすることが必要になってきます

2.外国で商標登録するにはどうすればいい?

外国で商標登録をするためには、商標登録を希望する国に直接商標登録出願をする方法があります。現地の代理人に直接連絡を取って依頼をするのも可能ですが、言語や管理の問題も考慮すると、日本の弁理士に依頼をするのがよいでしょう
複数の国に一括で出願できる国際商標登録出願(マドリッドプロトコル)のルートもありますので、出願国の数が多い場合には、利用することをお勧めします。
日本で登録している商標をそのまま海外に出願することも可能ですが、現地の言語に適した翻訳をした商標にすることや、図柄の変更も併せて検討したいです。現地で愛される商標やマークにするとよいでしょう。

3.悪意の先取りを防ぐ

いわゆる『コロナ前の世界』に完全に戻ることはないかと思われますが、今後ますます海外渡航機会や海外ビジネスの頻度が増えることは間違いありません。日本のヒット商品の模倣品が海外で流通することを防ぐには、海外での商標登録の保護が必須になります。悪意のある第三者によって外国で商標が先取りされることや、さらには、高額での商標の買取要求などをされることにもなるでしょう。
このようなリスクを回避するためにも、転ばぬ先の杖として、海外での商標権の取得についてご検討いただくとよいと思います。

4.不安を煽る?

『既に貴社の商標が海外で先取りされています』といったこともあるかもしれません。不安を煽ってしまうようですが、一度、自社の商標が海外で取得されてしまっていないかどうかを調査してみるもの良いかもしれません。仮に見つかった場合には、無効にできる可能性もあるので、まずは簡易的にも調査をしてみることをお勧めします。
特に、中国では商標の出願数が多いため、中国のデータベースでの調査をされることをお勧めします

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