【Q&A】無断欠勤や行方不明

※こちらの情報は2022年5月時点のものです

Q.相談内容

ゴールデンウィーク等の連休明けから従業員が来なくなり、そのまま連絡が取れなくなりました。解雇することはできますでしょうか。

A.回答

実態に応じ、無断欠勤が引き続く場合や行方不明となった場合には、会社都合の解雇に固執する必要はなく、ご本人都合の自然退職扱いを取ることも可能と考えられます。

1.労働基準法に基づき解雇手続きを行う場合

まず、解雇を行うためには、労働基準法より、原則として30日以上前に解雇予告を行うか、30日分の解雇予告手当を支払う必要がございます。連絡がつかない為、郵送等にて解雇予告を行う場合、相手方に意思表示が到達した日の翌日から30日経過後の日が解雇日となるように設定する必要がございます。
その場合、郵便を送付した事実、郵便物の内容及び送付時期等を証明する「内容証明郵便」で送付することが望ましいです。また、宛所不明で返送される場合や、相手の所在が不明の場合、「公示送達」による意思表示も可能です。簡易裁判所に申し立て、裁判所の掲示板に掲示され、官報及び新聞に少なくとも1回掲載されるのが手続きの原則的な流れとなります。そして、最後の掲載から2週間を経過したときに相手方に意思表示が到達したとみなされます。

2.就業規則に基づき自然退職手続きを行う場合

上記1の解雇手続きは煩雑で時間や費用を要します。一方、就業規則に規定があれば、従業員から退職の黙示の意思表示があったと考えて、自然退職の扱いを取ることも考えられます。
自然退職扱いをする場合、「一定期間(一般的には「2週間」)の無断欠勤経過後に自然退職扱いにすること」を、就業規則に明確化しておくことが求められます。ただし、行方不明や無断欠勤の理由について客観的な情報を欠いており、事故等何らかのトラブルに巻き込まれている可能性も否定できません。その為、後日再び出社した従業員から、退職扱いについて異議が出された場合、本人に責任がないのであれば復職を認め、本人に責任があるのであれば、改めて懲戒処分や懲戒解雇をする等の対応が望ましいと考えられます。また、退職が確定するまでの間、会社からは、電話、メール、FAX、郵送等により引き続き連絡を取るよう努めるべきと考えられます。

なお、退職事由や解雇事由につきまして、就業規則に具体的な記載がない場合には、自然退職や解雇の効力を争うリスクも想定されますので、予め規定をしておくことをお勧め致します。弊社にて就業規則の作成・変更サービスを承っておりますので、是非ご検討ください。