面会交流

著者:【弁護士】吉川 法生

※こちらの情報は2022年5月時点のものです

Q.質問

夫と離婚することになりました。子どもは小学生の2人です。夫が養育費をきちんと支払ってくれるか心配ですし、子どもを夫に会わせることは漠然とした不安があります。夫と子どもとの面会交流について、どのようなことに気をつけて、取り決めを行っていけばよいでしょうか。

A.回答

面会交流とは、離婚後又は別居中に子どもを養育・監護していない方の親が子どもと面会等を行うことです。

面会交流の目的ですが、子どもにとって、お父さんもお母さんもかけがえのない親です。子どもがすこやかに育っていくためには一方の親だけでなく、両親から成長を見守られ、愛されることが必要です。すなわち、子どもの健全な成長のために行うことがその目的となります。

このように、面会交流は、子どものためのものであり、面会交流の取り決めをする際には、子どもの気持ち、日常生活のスケジュール、生活リズムを尊重するなど、子どもの利益を最も優先して考慮する必要があります。
面会交流を円滑に行い、子どもがどちらの親からも愛されていることを実感し、それぞれと温かく、信頼できる親子関係を築いていくためには、父母それぞれの理解と協力が必要です。夫婦としては離婚(別居)することになったとしても、子どもにとっては、どちらも、かけがえのないお父さんでありお母さんであることに変わりはありませんから、親として子どものために協力していくことが必要です。

面会交流の具体的な内容や方法については、まずは父母が話し合って決めることになりますが、子どもの年齢、健康状態、学校、課外活動、習い事などのスケジュールを考慮に入れながら、子どもに無理のないような日にちや時間、場所、内容などを決め、子どもが喜んで会えるようにしましょう。
話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には、家庭裁判所に調停又は審判の申立てをして、面会交流に関する取り決めを求めることができます。この手続は、離婚前であっても、両親が別居中で子どもとの面会交流についての話合いがまとまらない場合にも、利用することができます。
これまで述べましたとおり、子どもとの面会交流は子どもの健全な成長を目的としていますので、調停手続では、子どもの年齢、性別、性格、就学の有無、就学状況、生活のリズム、生活環境等を考えて、子どもに精神的な負担をかけることのないように十分配慮して、子どもの意向を尊重した取決めができるように、話合いが進められます。場合によっては、調査官が子どもの意向を確かめることもあります。もっとも、子どもが交流を求めている親から身体的・精神的な被害を受けるおそれがあるなど、面会交流をすることが子どもの利益に反する場合は、面会交流が認められなかったり、直接面会する方法以外の交流に限られたりします。
また、面会交流の取決めに際しては、面会等を行う際に父母が気をつけておきたいことなど、裁判所側から助言がなされたりします。裁判所作成のリーフレットもあります。
なお、話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には審判手続が開始され、裁判官が、一切の事情を考慮して、審判をすることになります。