収益不動産の相続

※こちらの情報は2024年5月時点のものです
Q.
3か月前、父が亡くなりました。相続人は、私を含め兄弟3人です。父の遺産は、賃貸マンション1棟と預金です。毎月、賃貸マンションの家賃が発生しています。こうした家賃を含め、遺産分割はどのように進めていけばよいでしょうか。遺言はありませんでした。
A.
まず、お父さんが亡くなられたことに伴い、相続人全員が賃貸マンションを共有することになります(民法第898条)。その後の遺産分割によって、賃貸マンションを取得した相続人は相続開始時にさかのぼって相続したものとみなされます(民法第909条)。
賃貸マンションの場合、毎月、家賃が発生します。では、こうした家賃は遺産分割でどのような扱いになるのでしょうか。
まず、相続開始前の家賃は遺産となります。ただ、多くの場合、家賃はお父さんの口座に振り込まれているでしょうから、遺産とすると預金として処理されることが多いでしょう。
次に、相続開始後の家賃ですが、これは遺産とはなりません。この場合、すなわち相続開始から遺産分割協議までの家賃は法定相続分どおりに各相続人が取得するとされています(最高裁平成17年9月8日判決)。
遺産分割後は、この賃貸マンションを取得した相続人が取得することになります。
もっとも、本件の場合、具体的に遺産をどう分割するかが問題となることも考えられます。預金の金額によっては、賃貸マンションの価値と預金で3等分に分割することが可能かもしれませんが、特に、預金の金額がそこまでいかない場合、どう分割するかは簡単ではなさそうです。
また、そもそも賃貸マンションの価値をどう評価するかの問題もあります。
さらに、例えば賃貸マンションの建築費を金融機関から借入れ、残債が残っている場合、債務は相続分で相続されますので、金融機関と話し合い、賃貸マンションを取得する相続人が借入れを承継するなどの処理が必要です。
協議がまとまらなければ、家庭裁判所に調停の申立てをし、そこで調整を図ります。協議の場合でもそうですが、代償分割(不動産を取得した相続人が、他の相続人にその評価額に相当する金銭を支払う方法)や、換価分割(不動産を売却し、その代金を分割する方法)なども検討することになるかもしれません。
調停が整わなかった場合、裁判所が審判により分割の方法を決定します。
なお、遺言を作成しておくことで、上記のような問題の多くを回避できますので、遺言の作成をお勧めします。

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