暦年課税と相続時精算課税制度の見直し~相続税・贈与税の2024年改正について[その2]~

著者:【税理士法人 谷野会計】谷野 芳枝

※こちらの情報は2025年5月時点のものです

前回3月号では、暦年課税と相続時精算課税に関する2024年改正のポイントを解説しましたが、今回は単純化した具体例によって改正後の制度がどのようになったのか、そのことによるメリットとデメリットを取り上げ、相続税対策の選択肢の一つとしてこれらの制度に対する理解を深めていただこうと思います。

【例1】

この例のように、父の見込み相続財産が6000万円の金融資産だけだとした場合、何も対策をとらなければ基礎控除額を除いた2400万円が相続税の課税対象となります。この場合、長男が相続時精算課税※1を選択し、父が長男に対して毎年110万円ずつ10年間、合計1100万円の贈与を行うことにすると、改正後の制度ではどのようになるかを暦年課税の場合と比較してみます。

① 年間110万円の基礎控除の新設によるメリット
  1. 贈与時 非課税(年間110万円までは基礎控除により非課税)
  2. 相続時 110万円×10年=1100万円の相続財産への加算が不要

その結果、左頁上段図のように課税価額を2400万から1100万円圧縮することができます。
ちなみに従来の相続時精算課税では贈与時の基礎控除がなく、メリットは累計で2500万円までは贈与税が課税されないというだけで、贈与額は全額が相続時に相続財産に加算され、相続税の対象とされていました。

② 申告制度の簡便化のメリット

初回贈与時のみ「相続時精算課税選択届」を翌年2月1日から3月15日までに提出することが必要で、それ以降は110万円の基礎控除額までの贈与であれば申告不要となります。ただし、110万円の基礎控除額を超えて贈与した年があれば、累計額が2500万円未満でもその年の超過額については申告が必要です。

【例2】

この例のように、小規模宅地等の特例が使える土地がある場合には慎重に検討することが必要になってきます。
なぜなら、相続財産の中に小規模宅地等の特例※2の対象となる土地がある場合に相続時精算課税を選択してしまうと、小規模宅地等の特例は適用できないため、上図のようにかえって相続税が高額になる場合もあるからです。
このように、相続時精算課税にはメリットがある反面、デメリットが生じることもあります。暦年課税と相続時精算課税のいずれを選択するかは、財産の総額はもちろん、相続財産の中に小規模宅地等の特例が受けられる土地があるかどうかなどを検討し、シミュレーションをしてみたうえで決定することが重要です。

利用する上での注意点は他にもございますので、もし難しいとお感じであれば、ぜひ専門家に相談されることをお勧めします。

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