コロナ禍の今だからこそ働き方改革

著者:【社会保険労務士】山﨑 洋介

※こちらの情報は2021年11月時点のものです

新型コロナウイルスの影響で大多数の事業所が経営的打撃を受けておられるかと思います。
このような状況の中で生き残っていくために、様々な工夫を凝らして販路を見出しておられる事業所も多く見受けます。
飲食店がテイクアウトメニューに力を入れていたり、テイクアウトのネット注文も可能にするなどはその典型例です。
もちろんそのような企業努力がコロナ禍での生き残りに重要なことは明白ですが、もうひとつの生き残りのポイントは働き方改革への対応と言えます。

働き方改革の根底は、深刻な少子高齢化による労働人口の激減を抑えるために、多様な労働力を確保(外国人、高齢者、主婦など)したり、労働力不足ながらも一人一人の生産性をあげていくことにあります。
そしてこの「生産性をあげていく」ということは、現在コロナ禍で打撃を受けている事業所にとっては、生き残りに大きく関わってきます。

生産性を向上させるということは、一人一人の粗利率(売上高に対する売上総利益の割合)が増えるということを意味します。つまり従来よりも少ない時間で量・質ともに向上させることになります。

そこで具体的に一人一人の生産性を上げる対策は何なのか?それは業種・規模などで千差万別かと思いますが、以下に生産性向上に取り組み、スタッフの労働時間を大幅に減らしたにもかかわらず、売り上げ・粗利率および賃金支給額も増えている事業所の生産性向上のノウハウを簡単に紹介します。紙面の都合で、私がいいなと思ったポイントを2つ紹介させて頂きます。

従業員規模25名(正社員5名パート20名)で和食店を営む会社の事例です。

仕事の見える化と評価制度の導入

スキルが上がれば、こういう役職が与えられ、賃金もこれだけアップするという『基準』を全スタッフに公表。
例えば

  • メニューを覚えている(1pt)
  • 座席番号を覚えている(1pt)
  • お客様と接するときに常に笑顔である(3pt)
  • サラダの盛り付けができる(2pt)

など、一定のポイントに達すればチーフとなり時給が100円上がる、といった具合に、評価制度を設けることによってスタッフのモチベーションが向上します。そして一人がこなす仕事の量と質が向上する=生産性アップにつながったというわけです。

これと同時に、スキルアップするために具体的にどうすればよいかという『マニュアル』を公表しました
例えば④のサラダの盛り付けに関しては、「見て覚えろ」ではなくて、すべての工程の写真付マニュアルを用意し、それをPDFファイルにしておくことで、スタッフが自分のスマホ上で自分の好きなときにいつでも確認できるようになりました。

スタッフが職場に溶け込める工夫

スタッフがやめてしまう原因には賃金・労働時間などの待遇面の他、「人間関係」も大きな要因となります。
そこでまず新人はもちろん他のスタッフもなるべく早く溶け込めるように、スタッフ同士がコミュニケーションを図りやすいツールを用意しました。
例えば全スタッフのアルバム(顔写真と名前、任意で趣味や特技、年齢なども書かれています)を作成し、新人がいつでも見られるようにしました。
これにより名前も覚えやすいですし、話題も作りやすいというわけです。それでもシャイな人もいますので、「新人のフォローを積極的にできる」というのも上記評価の中に盛り込むことによって、周りが新人に気遣いできるようになりました。

コロナ禍の今だからこそ、生産性の向上=働き方改革が必要なのだと思います。

弊社では、働き方改革に関するご相談、また36協定の作成・提出も承っております。
詳しいご相談はお気軽にTSCまでお問い合わせ下さいませ。

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