社会復帰促進等事業について

著者:【社会保険労務士】宇多 智

※こちらの情報は2025年9月時点のものです

労災保険では、保険給付の他に、被災労働者の円滑な社会復帰の促進や遺族を含めた援護などを図るために、様々な給付が行われています。今回は国ならではの手厚い給付について、ご説明させていただきます。

義肢等補装具購入(修理)に要した費用の支給

【具体的内容】

業務災害または通勤災害により、身体に障害を残した方が義肢等の補装具を購入または修理した場合に、その費用が支給されます。

【対象となる補装具】

義手、義足、装具、義眼、眼鏡、補聴器、車椅子などです。障害の部位や程度によって、支給対象となる補装具の種類や基準額が定められています。

【申請方法】
  1. 購入または修理を行う前に、労働基準監督署に事前申請を行うことが原則です。
  2. 申請書に医師の意見書、見積書などを添付して、管轄の労働基準監督署に提出します。
  3. 承認後に購入・修理を行い、領収書等を添えて支給申請を行います。

アフターケア

【具体的内容】

業務災害または通勤災害により傷病が治ゆ(症状固定)した後でも、後遺症状の予防や軽減、再発防止のために必要な措置である診察や検査、薬剤の支給などを無料で受けられる制度です。

【対象となる疾病】

せき髄損傷、頭頸部外傷症候群等、尿路系障害、慢性肝炎、白内障等の眼疾患など20種類の傷病が定められています。

【申請方法】
  1. アフターケアを受けるには、事前に「アフターケア手帳」の交付を受ける必要があります。
  2. 手帳の申請は管轄の労働局で行います。
  3. 申請書に医師の意見書などを添付して提出します。
  4. 申請期間や必要書類は疾病によって異なりますので、詳細は管轄の労働局にご相談ください。
  5. アフターケア手帳が交付されると、指定医療機関でアフターケアを受けることができます。
  6. 通院費用についても、一定の要件を満たす場合は支給されます。

労災就学等援護費

労災就学等援護費には、労災就学援護費と労災就労保育援護費の2種類があります。

1. 労災就学援護費

【具体的内容】

業務災害や通勤災害により亡くなった労働者や障害を負った労働者のご家族を経済的に支援するための制度です。遺族(補償)等年金、障害(補償)等年金、傷病(補償)等年金を受給している方の子どもの就学を援護する目的で支給されます。

【支給要件】

以下のいずれかに該当する場合に支給されます。

  • 遺族(補償)等年金受給者で、死亡した労働者の子と生計を同じくしている場合
  • 第1級~第3級の障害(補償)等年金を受給している場合
  • 傷病(補償)等年金を受給していて、特に重篤と認められる場合
【支給金額(月額)】

子どもの就学状況により、以下の金額が支給されます(令和7年4月1日現在)

  1. 大学等 3万9千円
  2. 大学等(通信)3万円
  3. 高等学校等 2万円
  4. 高等学校等(通信) 1万7千円
  5. 中学校等 2万1千円
  6. 中学校等(通信) 1万8千円
  7. 小学校等 1万6千円
【申請方法】

申請書の他に、以下の書類が必要になることがあります。

  1. 生計を同じくしていることを証明する書類
  2. 学校に在学していることを証明する書類

2. 労災就学援護費

【具体的内容】

労災就労保育援護費は、遺族(補償)等年金、障害(補償)等年金、傷病(補償)等年金を受給している方が就労のために子どもを保育所等に預ける場合の経済的負担を軽減するための制度です。

【支給要件】

次のいずれかに該当し、保育費用を援護する必要があると認められる場合に支給されます。

  1. 遺族(補償)等年金を受給していて、死亡した労働者の子と生計を同じくしており、その子を就労のために保育所などに預けている、または受給者本人がその家族の就労のために保育所などに預けられている。
  2. 第1~3級の障害(補償)等年金を受給していて、生計を同じくしている子を就労のために保育所などに預けている、または受給者本人がその家族の就労のために保育所などに預けられている。
  3. 傷病(補償)等年金を受給していて(せき髄の損傷等で傷病の程度が特に重篤と認められる人に限る)、生計を同じくしている子を就労のために保育所などに預けている。
【支給金額(月額)】

9千円(令和7年4月1日現在)

【申請方法】

申請書の他に、以下の書類が必要になることがあります。

  1. 生計を同じくしていることを証明する書類
  2. 保育所等に通っていることを証明する書類

長期家族介護者援護金

【具体的内容】

業務災害または通勤災害により重度の障害(障害等級第1級または第2級)を負った方が業務外の理由で死亡された場合に、長期にわたり介護しているご家族に対して支給される援護金です。

【支給要件】

介護期間が10年以上で、亡くなるまで介護を行っていたご家族が対象となります。

【支給額】

100万円(援護金の支給を受けることができる遺族が2人以上の場合には、100万円をその数で除して得た額)

【申請方法】
  1. 「長期家族介護者援護金支給申請書」に必要書類を添付して、管轄の労働基準監督署に提出します。
  2. 必要書類には、介護状況申立書、住民票、戸籍謄本などがあります。
  3. 支給要件を満たしていれば、申請後に支給されます。

【参考URL | 厚生労働省ホームページ】
労災保険 障害(補償)等給付の請求手続
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001410153.pdf
各給付に関する請求書は以下URLからダウンロードできます。
主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html

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