NISA口座の相続 ~保有したまま亡くなられた場合~
※こちらの情報は2024年5月時点のものです
本年1月から始まった新NISA(少額投資非課税制度)によって注目されているNISA口座ですが、このNISA口座で株式や投資信託(以下「株式等」)を保有する個人投資家に相続が発生したらどうなるのでしょうか。今回はNISA口座の相続について理解を深めていただこうと思います。
NISAとは?・・(旧)NISAと新NISAの違い
NISAとは、NISA口座を使って投資した株式等から得られる利益が非課税になる制度です。このNISAの年間投資枠(購入限度額)と投資した株式等の保有期間について、令和5年税制改正で大幅な見直しがありました。その内容は次の表の通りです。


NISA口座を開設している方が亡くなった場合
NISA口座を開設している方が亡くなった場合、相続人は死亡を知った日以後遅滞なく、取引金融機関に「非課税口座開設者死亡届出書」等の書類を提出しなければなりません。この届出がされると、相続が開始した時点でNISA口座内の株式等はすべて払い出されたものとみなされることになります。その結果、被相続人がNISA口座を使って投資した株式等の取得価額と相続開始日の時価額との差額については非課税となりますが、亡くなった日の翌日以降に受け取る配当金や分配金は非課税とはならず、所得税・地方税が課税されることになります。
例えば、相続開始日に保有する株式について値上がり益が生じている場合、下記の通り値上がり益は非課税となります。

一方で、もし相続開始日の終値の価格が取得価格を下回っていたとすると、相続開始日に損失が確定したものとみなされます。しかも、NISA口座における損失は他の利益と損益通算することはできませんので、結局、損失はなかったものとして取り扱われることになります。

また、いずれの場合であっても、非課税であるNISA口座のままで当該株式等を引き継ぐことはできず、たとえ相続人が自分でNISA口座を開設していたとしてもその口座に移管することもできません。相続人の選択によって、売却するかまたは自分の特定口座等に相続開始日の時価で移管することになります。
このように、特定口座等にある株式等を相続する場合には、「取得日=被相続人が取得した日」、「取得価額=被相続人が取得した価額」となりますが、NISA口座にある株式等を相続する場合は、「取得日=被相続人が亡くなった日」、「取得価額=被相続人が亡くなった日の終値」となります。
このため、例えば、被相続人が保有中に株価が値下がりしていた場合、一般の口座であれば被相続人の取得時の株価で相続人が引き継げますが、NISA口座では値下がりした相続開始日の株価で引き継ぐこととなり、もしその後株価が上昇してから相続人が売却すると、相続後の値上がり益に対して課税されることになります。逆にNISA口座で保有していた株式等が被相続人の取得時より値上がりしておれば、相続人はその値上がり後の株価を取得価格として株式等を引き継げるというわけです。

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